灰色勅額10銭切手剥ぎ取り、塗り潰し使用エンタイアがなぜ存在するのか?(3)
- 2018/09/18
- 17:09

どこがどう悪いのか?その前に申し上げますがこのラフスケッチで
書いたエンタイアは私の所有ぶつではありません。
従来の郵趣界で人のコレクションに対して、どうのこうの言うのは儀
礼に反するとか紳士のすることではないと言ったような雰囲気があり
ました。そういえば、それはそれで結構な慣例なのかもしれませんが、
いつまでもそのままでよいのか?良いはずは、ありません。
今や切手集めは、非常に残念なことに王道から狭く細くいつ途切れ
てしまうのかというほど先細りの衰しく退潮の趣味に成り果てました。
その最大の原因は、ピンセットを使ったり、専門的にアルバムに収めて
展示したり大金かけてコレクション形成と、現在の多忙で短期決戦型
の社会の仕組みに向かないようになったのが原因でしょう。
ほかにもたくさんの複雑で理解できないような理由があるのでしょう
が、本題ではありません。
どんな外の収集の本や雑誌には、たいがい真贋判別の記事が載っ
ています。
皆さんご存知の毎週ご覧になっていらっしゃるでしょう。テレビ人気番
組、”なんでも鑑定団”では、毎週毎週本モノか偽モノかの鑑定が繰り
広げられています。この番組は、始まってからすでに30年近くにはなる
でしょう。
こんなにも楽しい番組が身近にあるのに、なぜ郵趣の世界だけが、い
つまでも紳士協定みたいに良いも悪いも言えない時間が続くのかわか
りません。
上の2点の図版のエンタイアは、昭和切手の中でも著名な代物です。
協会の本やそのほかの郵趣雑誌、研究本にも再々取り上げられてい
ます。
左の分に至っては、たびたび大きな切手の展覧会に出品され展示さ
れたものです。もはや郵趣界のスター的存在です。これらにプライバシ
ーがあるのか判断すると、全面的にそれはないと判断されます。
●左から見てみましょう。これの一番の注目点は差出も受取人も郵趣家
(切手収集家)だと言うことです。
この封筒には、灰色勅額10銭切手が、6枚も貼り付けてあります。これ
何と言うのでしょう。敗戦後まもなくの時期には、この切手はほとんど流
通していませんでした。どうも不鮮明な消印を心眼で見ると昭和20(1945)
年の戦後まもなくの時期に使われたような感じです。昭和20年の最後の
12月でもよいのです。
この期間灰色勅額10銭切手は、収集家の間では、これまで述べましたと
おり、シートで3倍、ばらした単片とか数枚なら5倍以上で取引をされてい
ました。昭和20年の5月ごろ発売が分って間もなくの頃は、50倍で購入さ
れてたと言う驚くべき高価な切手でした。
分りやすいように現在の82円切手を例に取りましょう。10銭=82円、5倍
なら410円です、50倍なら4100円の価値を有していました。
しかもこの時期は猛烈なインフレが進行していました。お金の価値など
もういうほどありません。価値のある”もの”で持っていたがその方が利口
な考えでした。
今あなたが表面82円ですが410円の価値があるもの、将来的にきっとそ
れはもっともっと価値が出ることは決まっている”もの”が手元にあるとす
れば、おそらく消費(使ったり)したりしませんよね。
ところがこの封筒には、それが6枚も貼ってあります。しかもこの封筒は
4種便ですから、単なる雑誌かなんかを送ったものです。あなたは、単純に
安い切手で済ましてよいものに、貴重で高価な切手をたくさん貼ったりしま
すか?82x5倍x6枚=2460円分も貼りました。
表面に見える京都の井上五良氏は、神九図の会という趣味の会長で結
構著名な人です。消印が作為的に見えて大きく斜め押しになっており、い
つ使用されたのかも分りません。
墨消しも、写真版で見ても、発信局ではなく到着後に消されたものと判断
されて、これが決定的に本来の主張通りの「剥ぎ取り、塗り潰し使用エンタ
イア」とする根拠はみることができません。
元来が緊急電報通牒は、存在しませんから、100歩譲歩しても、as isとする
ことさえ出来かねるものでしょう。後あと廃封筒を利用してリメイクしたものか
なにか・・・。
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